根管治療
根管治療
歯科用CTは3次元の立体画像で歯のレントゲンを撮ることができる装置です。根管は複雑な形状であるうえ、歯によって数本に分岐しています。根管の清掃・消毒を確実に行うためには、まず根管の構造や病巣の位置・大きさを正確に把握することが重要となります。
通常、根管治療は1回約30分弱の治療を4~5回程度行うため、患者様の通院負担がどうしても大きくなります。回数が多くなりすぎると外部からの感染のリスクも高くなります。
当院では、1回の根管治療を約30~60分で終えることができるように心がけます。通院回数を抑えることができますので、仕事や家庭の都合で何回も通うことが難しい方に適しています。
根管治療ではファイルと呼ばれる器具を使用します。当院では、一般に用いられるステンレスファイルと、ニッケルチタンファイルを使用します。
湾曲した根管を掃除する際、ニッケルチタンファイルは超弾性の性質を持ち、曲がった根管にそってしっかりと入っていきます。根管を不必要に傷つけることなく、精密に歯髄の除去が可能で時間の短縮につながります。
ラバーダム防湿とは、治療する歯以外を薄いゴム製シートで覆い、唾液中の細菌が根管内に侵入することを防ぐ、非常に重要な行程です。薬剤や治療器具の誤嚥防止、舌や頬粘膜のけがの防止、防湿による詰め物の接着強度の向上という効果もあります。これにより、根管治療の成功率を飛躍的に高めることができます。
根管治療とは、むし歯菌に感染した歯髄や細菌の固まりなどの汚れをきれいに取り除き、痛み・症状を抑えて歯の寿命を伸ばす治療です。
根管治療は、歯科治療の中で大きな割合を占める治療です。以下の症状に適応されます。
むし歯が神経にまで達してひどい歯髄炎の症状(自発痛、冷・温痛、咬合痛など)を起こしている場合は、歯髄(神経)を取り除く処置になります。抜髄の段階で無菌かつ丁寧な治療を行い、精密な土台や被せ物をセットできれば、根管内に細菌がいない状態を高確率で作り出すことが可能です。
感染根管治療とは、根管の中の細菌や汚染物を取り除き無菌に近い状態にして、根の先にある炎症を抑えていく治療です。
詰め物、被せ物を除去
詰め物や被せもの、土台すべてを取り外します。
むし歯の除去
神経に触る前にむし歯を除去していきます。これはむし歯の細菌が根管の中に入るのを防ぐためです。
隔壁の形成
根の内に唾液が入ると細菌も入ってしまうため治療の成功率も落ちてしまいます。歯が小さくなっている箇所には材料を用いて壁を作り、唾液の侵入を防ぎます。
ラバーダム(別途費用が発生します)
ゴムのシートでお口全体を覆い、治療する歯のみシートの上に出して治療を行います。根管内への唾液の侵入を防ぎます。治療時の薬剤がお口の中に流れ込まないようにする目的もあります。
感染歯髄を除去
専門器具を用いて、感染歯髄を取り残しがないように徹底的に除去します。続いて空洞になった根管を拡大していきます。
薬液による根管内の洗浄・消毒
汚染された歯髄などを器具で除去した後、薬液によって化学的に洗浄します。また、空洞になった根管内に消毒薬を入れて仮の蓋をし、時間を置いて消毒します。この工程を症状がおさまるまで何度か行います。
根管充填
根管がきれいに清掃、消毒され、症状の改善が認められれば、充填剤を緊密に詰める根管充を行います。ガッタパーチャと呼ばれる材料やMTAセメントで根管内をしっかりと無菌状態で封鎖し、再び細菌が侵入しないようにします。
支台築造
抜髄や感染根管治療で神経を抜いた歯は、経年的に歯質が弱くなり、破折が起こりやすくなります。そのため、金属や樹脂を用いて歯を補強する支台築造を行います。
根管治療の最後の仕上げに根管充填があります。歯髄を抜き取った根管内を緊密に塞ぐ処置ですが、隙間なく塞ぐことができなければ、数年後、これが原因となり再び細菌感染を起こしてしまうことがあります。
一般的な根管治療ではガッタパーチャというゴム状の樹脂で隙間を塞ぎます。しかし、根管内に穿孔(穴)や根先端部の破壊などが見られるケースではガッタパーチャでは治療が難しく、そこから感染して周囲の骨の吸収や歯茎の腫れや痛みを引き起こしてしまうことがあります。
ガッタパーチャと比較して、格段に辺縁封鎖性に優れたMTAセメントであれば、このようなケースでも細菌の侵入を防ぐことが可能です。生体親和性が良く、高い殺菌作用や歯の組織を再生させる効果(再石灰化促進作用)を有しているため治療後の経過が良好になります。
通常は適切な根管治療と薬剤の充填によって治療が可能ですが、なかには通常の根管治療では回復が見込めない症例もあります。このような場合は病巣のある根の先を切り取ってしまう歯根端切除など、外科的処置が検討されます。
TOP