2024年9月27日
ようやく暑さが収まり、朝夕には涼しさを感じるようになりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今回は歯科の詰め物や被せものに使われる銀歯についての内容です。
日本で多く使われている銀歯は金・銀・パラジウムなどの金属をかけ合わせた「金銀パラジウム合金」とばれる金属です。保険治療で使われており、加工しやすいため何らかの形で口の中に銀歯が残っている成人は全体の 7~8 割を占めると言われています。
- 金銀パラジウム合金 組成グラフ
メーカによって誤差はあります
この健康保険で使われる銀歯は、唾液やう蝕菌による酸、咬合や咀嚼などの様々な刺激により口腔内でイオンとなって溶け出しやすく、結果として以下のような症状を及ぼすことがあります。
- 金属アレルギー(体内のタンパク質と結合し、アレルゲンをつくる。)
- メタルタトゥー(歯ぐきの黒ずみ。審美面的な影響)
- プラークの付着(金属の表面が粗造になりプラークが付着しやすくなる。虫歯、歯周病に影響し、歯の寿命に関わります)
- 金属からイオン化して口腔内へ溶け出す
当院でも昔入れた詰め物で一見虫歯には見えませんが、金属を除去すると中が黒くなっていたというケースに多々遭遇します。
このようなリスクを少なくするためにメタルフリー(金属を使わないセラミックやファイバーポストによる治療)を推奨しています。
メリットとして
- 目立たない(天然歯に類似した色調や透明感を再現できる)
- 安定した素材(金属の経年劣化に比べて、身体に安全な安定した素材であるので、変色や材質の劣化が起こりにくい
- 金属アレルギーの心配がない(金属アレルギーによる口内炎ができやすい、むず痒いといったお口のトラブルが減少)
- 衛生状態に優れる(セラミックの表面は粗造になりにくいので、汚れがつきにくい)
が挙げられます。
欧米ではセラミックの治療が一般的であり、銀歯はほとんど使用されていません。ドイツではパラジウムが体に与える悪影響の観点から使用禁止の勧告がされており、スウェーデンにおいては小児・妊婦への使用が禁止されています。
当院ではセラミックだけでなく、金属でもイオン化されにくく隙間になりにくいGold、CAD/CAM冠、チタン冠など取り扱っています。その人の咬み合わせに合った材質を提案していますので、お口の健康や、良好な予後のための詰め物の材質に興味がある方はお気軽にご相談ください。